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4月17日 水曜日 14時ちょうど

今回の装備
目の前に熊野灘が広がっていた。
曇天のため海は鈍色で波がゆっくりうねっている。
太平洋だ。見たことのなかった太平洋だ。

ようやくここまで来た。
思ったよりも時間がかかった。
いつか来ようと思っていたのにずっと来れなかった場所だ。

東は大王崎を越えて御座白浜、西は潮岬を越えて紀伊勝浦。そこまでは来たことがあったけれど、この熊野~新宮間は今までずっと空白の地だった。
高速道路もないし列車の便も悪い。大阪からはある意味、東京よりも遠い場所。
でもここまで自転車でやって来た。そして自転車で帰る。

この旅の道中で僕は何度自分に訊ねただろう。
「まだ行けるか? 大丈夫か?」
そして背伸びをし、首をまわし、慎重に全身の声を訊く。

どこも痛くない。力も入る。
大丈夫。
まだまだ、どこまでだって行ける。

そうして最終的に到達したのは走行距離361.4km獲得標高5373mという記録。
まさか自転車でこんなに走れるなんて。こんなに登れるなんて。
数年前の自分が聞いたら下手なウソだと思ったろう世界が、あまりにも普通に、何事もなかったかのように、僕の経験として確かに存在していた。

出発は午前4時。
もともとは自走アワイチに出るつもりだったのが、早起きしすぎてジェノバラインの始発を待ちきれなくなったのだ。
じゃあ、せっかくだから今まで行ったことのなかった熊野灘を見に行こう。
自走アワイチに比べると獲得標高がやばそうだけれど、去年は自走大台ケ原を達成したわけだし、たぶんまあ何とかなる。
グーグルマップで簡単にルートを確認し、前夜に準備を完了していた荷物をまとめて家を出た。

荷物といっても大した装備はない。
ロングライドに出かけるたびに携行品は減っていく。
無駄な物はなくなり、どうしても必要な物だけが残っていくのだ。

今回の機材と装備は以下のとおり。

フレーム Wilier Cento1
メインコンポ Ultegra6600
クランク RacingTorqR 50×34T
スプロケ Uitegra6700/11-28T
チェーン DuraAce7800
ホイール 手組み中華カーボン38mm
タイヤ Velofrex Criterium
サドル Fizik Ariante
ハンドル Chinelli Neo Morphe
ペダル LOOK Keo2Max

フロントライトその1 Lezyne POWER DRIVE XL
フロントライトその2 CATEYE HL-EL520
リアライト CATEYE TL-LD650 Rapid5
サイクルコンピュータ SIGMA BC2209MHR

ドリンクボトル POLARの保冷ボトル
輪行バッグ MontBell コンパクト輪行バッグクイックキャリー
予備タイヤ Vittoria STRADA

予備チューブラーテープ MIYATA TTP-1をカットしたもの
タイヤレバー
カッター
携帯工具
バルブコア回し
携帯ポンプ TOPEAK MicroRocket
以上をウエムラパーツのツール缶へ

スマートフォン ARROWZ Z ISW-11F
カメラ Fujifilm X10
現金8,000円ほど
クレジットカード
保険証
携帯チェーン
以上をジャージのポケットへ



家を出た僕は、夜の街をまずは大和川沿いのサイクリングロードへむかった。
先日購入したメインフロントライトであるLezynePOWERDRIVEの性能を確かめるためだ。
CATEYE HL-EL520でも都市部を走行するには問題ないが、山間部の暗闇では明らかに力不足。今回もおそらく夜間の峠越えは避けられない。

街灯のないサイクリングロードに進入してスイッチオン。
HL-EL520がうっすらと照らしていた道をPOWERDRIVEの光が煌々と覆い尽くす。
明るい。間違いなく明るい。
ローモードでも当社比5倍くらいの感覚に驚く。
照射角、照射範囲も適切にして十分。原付なみとはこの事か。これなら信頼するに足りる。逆に言えばこれより明るいライトは必要ない。
ただし今回のロングライドでの懸案事項がひとつ。予備の18650リチウムイオン電池が準備できていないのだ。
ローモードでの照射時間は5.5時間あるが、ここぞという時のため街灯のある区間はHL-EL520だけで行くことにする。

柏原のリビエールホール前からはR25~R165大和高田バイパスを経由して南へ向かう。
熊野灘は大阪から見て紀伊半島の真裏側だ。そこに辿り着くまでには紀伊山地を縦断することになる。
紀伊山地は深く険しい。去年行った大台ケ原往復ルートで獲得標高3852mだ。
今回はそれ以上になるだろうが望むところ。山のないロングライドなんてミカンのないコタツのようなものだ。

ルートラボによると往路はこの通り。我ながらよく走ったと思う。


スタートセブンイレブン
第一回目の休憩は大和高田バイパス沿いのセブンイレブンで。
ベイクドチーズケーキとホットコーヒーを流し込む。
スイーツと砂糖入りの缶コーヒーもロングライド時だけは解禁。久しぶりの甘味を満喫しよう。



夜明けの大和高田バイパス
県道30号に入り、大和葛城山の麓あたりで夜が明けた。
旅の夜明けはいい。昔おんぼろのKSR-2で走った北海道ツーリングを思い起こさせる。心が静かにみなぎってくる。
それにしても風が強い。びゅんびゅんいう南西の風。天気予報ではこんな風じゃなかった。
向い風に骨が折れるがそれも奈良盆地のあいだだけだろう。紀伊山地に突入してしまえば山塊に風も遮られるはずだ。


夜明け吉野へ
大阪へ抜ける水越峠との分岐点、名柄の交差点を左折しR309を東進する。いよいよ紀伊の山並が迫ってくる。あのずっとむこうに熊野灘がある。


大台ケ原のむこう熊野灘
往路は途中まで自走大台ケ原と同じルートを通る。
大台ケ原のむこうに熊野灘。他にもルートはあるが去年の自分を越えていくことに意味がある・・・気がする。


吉野川東進
朝焼けの吉野川沿いを東進する。ちなみに西進すれば、すなわち紀ノ川である。

山に入る前にローソンで補給。カップヌードルとおにぎりを暖めてもらった。
ひとたび山に入れば補給ポイントは三重県に抜けるまで皆無なのだ。
補給食のほうもジャージのポケットに入るだけ、ごっそりと買い込んだ。
山岳路を100kmほど走ることになるから所要時間は6時間を見込む。

補給食購入
スニッカーズ1つと羊羹を3つ、さらにおにぎりを1つ購入。羊羹はかさばらなくて高エネルギー、かつ安価という理想的な補給食だ。
今回は1時間に1度、200~300キロカロリーの補給をする計画でいく。あくまで計画なので、その通りにはいかない事のほうが多い。

お地蔵様に安全祈願
ローソンのむかいにあるお地蔵様に旅の安全を祈願する。無事に熊野灘に辿り着けますように。
けれど本当に危険なのは、もちろん復路のほうだった。

大峯奥駆道
そしていよいよR169へ。大峯奥駆道の標識が山岳を意識させずにはいられない。
吉野山、大辺路、小辺路、その他もろもろ、この周辺は世界遺産銀座だ。


8パーセント坂
序盤から8%の坂がつづく。けれど思ったより楽だ。脚も十分回っている。
そして去年の自分より成長した自分を確認する。
よし、アウター縛りで行こう。がんばれ自分。
このあたりからリアライトは点けっぱなし。頻繁に登場するトンネル対策だ。
CATEYE TL-LD650は光量、ランタイムとも十分にナイトライドに対応する。しかし自慢のRapidモードは電力消費が激しいので封印しよう。ランタイムの一番長い点滅モードでも目立ちすぎるほどなのだから。

ダムに沈む道
ダムに沈んだ旧道が郷愁をそそる。水の底にはどんな生活があっただろう。

ちゅーりっぷ
道端の花壇にはチューリップ。
この花壇は四季折々、いつ前を通っても綺麗な花が咲いている。

大迫ダム
大迫ダムでちょっと一息。
水門は閉まっていたが、ダムの下部からはすごい勢いの放水があった。


天空への回廊
R169のハイライト。天空へつづくループ橋だ。
ここは橋とトンネルが連続して360度ループしながら高度を稼いでいく。

花粉症めがね
今回の秘密兵器がこれ。ドラッグイレブンで購入した花粉症対策メガネ。
1100円ほどで紫外線UVカット&曇り止め機能つき。ほぼ曇天かつ夜間走行も多かった今回のライドでは非常に役に立った。
ユニクロサングラスよりガッチリしっかりしている。風の巻き込みもないし今後はこれでいい。
そしてこのあたりから腹痛発生。脂汗を垂らしながらのヒルクライムとなる。けれどアウター縛りは解かない。それがエセクライマーのジャスティス。


通行止め大台ケ原
大台ケ原ドライブウェイはまだ冬季閉鎖中。
仮に通行可能でも山頂付近の気温は余裕の一桁台だ。今回の服装では凍え死んでしまう。

今回のウェアー類は以下のとおり

MontBell ジオラインL.W.ラウンドネックシャツ
Skins A200メンズロングタイツ
中華半袖ジャージ
中華レーパン
Castelli ウィンドブレーカー
ParlIZUMI 冬用グローブ
登山用ソックス
予備としてMontBellの指切りグローブ

桜ダウンヒル
大台ケ原ドライブウェイへの分岐をすぎるとロングダウンヒルがはじまる。
桜が綺麗だがあいかわらず腹は痛い。それももう我慢できそうにない。
気温は10度ちょっと。けっこう肌寒いし、どうやら腹を冷やしたらしい。
これ以上脂汗を垂らしながらのダウンヒルも辛いので、ちょっと道端にバイクをとめて山の中で緊急避難。なんとか事なきを得た。

ほっとしてダウンヒルをつづけると上北山村役場前のT字交差点に辿り着く。
かの激坂で有名な大台ケ原ヒルクライムコースとの分岐点だ。
本来なら分岐を左折せずR169をそのまま直進南下するのだが、今回は土砂崩れでこの先のR169が通行止めになっていた。
この場所に辿り着くまでにも幾つかR169通行止めの看板は目にしたが、2t車以下は迂回可能との事で気にすることなくやってきたのだ。

しかし問題はその迂回路だった。
てっきりR169の横に数百メートルだかの仮設道路でもが設置されているんだろうと予想していたが、現実はまったく違っていた。

現実の迂回路はこの場所からR169を大きく離れ、サンギリ林道経由で日本三大酷道で有名なR425へ抜けるルートなのだ。
ルートラボで抜粋するとこうだ。

サンギリ林道は林道であるから酷道R425よりも当然荒れている。
交通整理の警備員さんがいたので迂回路の所要時間を聞いてみたところ、普通乗用車でも1時間はかかるとの事。
自転車なら2時間超~3時間程度を覚悟せねばなるまい。
R169南下コースなら30分もあれば十分に走破できた距離だが仕方ない。ここまで来て戻れやしない。行ってやろうじゃないか。
このルートの頂上はサンギリトンネルで標高873m。斜度もきつい。本気のヒルクライムルートだ。

林道に入ってすぐにアウター縛りは解除した。
たしか7~8年ほど前にオフロードバイクで通ったことのあるルートだが、自転車でどれだけきついコースになるのか皆目検討もつかない。補給食にしろ順調に減って残りはそれほど多くない。緊急事態に対しての無理は禁物だ。

サンギリ林道
山肌を縫うように林道はつづく。路面はそれほど悪くない。落石への注意は必要だがロードバイクでも十分に走行可能だ。

サンギリ線下り
昔走った時はすれ違う車など皆無だったが、今回は迂回路になっているので10分に1台くらい軽トラや小型車が通過する。

サンギリ警告
インナーローを駆使してサンギリトンネルを越えると渓流沿いのダウンヒルとなる。
サンギリ林道下り遠景

坂本ダム
林道の終点は坂本ダムだった。
普段は人気のないダムだろうが、今日はここにも交通整理の警備員さんが。

R425
そして酷道425号線へ。
池原貯水池沿いをひたすら西進する。

補給食切れ吊り橋
ここで買い込んでいた補給食が底をついた。
先はまだ長いがこれ以上のヒルクライムはない。ダウンヒルなら大丈夫。少々補給なしでも先へ進むことは可能なはずだ。
最後の羊羹のおかげで力がまた戻ってきた。

池原ダム

池原ダム遠景
巨大な池原ダム。紀伊山地はまたダム銀座でもある。

池原ダムを下ったあたりでまた腹痛が再発した。
やはり腹部を冷やしすぎたのだ。
幸いにも池原スポーツ公園前にトイレがあったので緊急ストップした。
ここで腹の中の物をすべて放出。腹痛はおさまったが体がだるい。なんだか全身のエネルギーまですべて放出してしまったような感覚だ。
補給食ももうないし力が出ない。暖かなうどんでも食べてゆっくりしたい。
数キロ先にサークルKがあるようなので、ここは我慢してペダルを回そう。

生き返った補給
そしてようやくサークルK発見!
うどんうどんうどん!
麺を勢いよくすすり、スープも最後の一滴まで残さず飲み込んだ。ついでにレッドブルで緊急充電完了。
腹の冷え対策にフリーペーパーを腹巻代わりにした。
全身がすぐに暖まってきた。力が戻ってくる。
よし行ける! まだまだ行ける!
熊野灘はもうすぐだ。


しかしそこからはじまる再度のヒルクライム。
紀伊山地の主要部は越えたはずなのに、あとはダウンヒルしかないと思ったのに、これは明らかにおかしいぞ。

ジャージからスマホを取り出して何度も場所を確認する。
いつもの事だがARROWZ ZのGPSはまったく頼りにならないので、周辺の地名や施設から現在地にあたりをつける。
道はたぶん間違っていない。

でもなんで横を流れる大又川の流れが進行方向と逆なんだ?

しばらくのあいだ、ちょっと進んで確認し、ちょっと進んで確認しを繰り返し、やがて答えは見つかった。
熊野灘に出る前に、もう一つ峠を越えなければならないのだ。
答えが出れば前へ進む力も出た。
峠の名前は佐田坂と言うらしい。今さら峠の一つがどうしたって言うんだ。軽く越えてやるまでだ。

そして坂田坂のダウンヒル。
こいつは痛快! まさに痛快無比!!
適度な斜度と大胆に曲がりくねるカーブ、良好な路面、少ない交通量。
時速50kmでチェントウノが次々とコーナーを切り裂いていく。
生粋のレーシングバイクが本領を発揮する。

坂田坂ダウンヒル
そして眼前に現れる熊野灘。
このダウンヒルは今までで間違いなく最高だ。

熊野灘到着
そしてついに熊野灘に到達。時間は14時。
出発が4時だったのでここまで10時間。帰りは相当遅くなりそうだ。

記念写真を撮って、帰りは夜遅くなるとメールを入れた。
さあ、ここからは海岸沿いを新宮まで走って、そこからまた山だ。


往路の走行距離 163.1km
往路の獲得標高 2839m


後半へつづく





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コメント

  1. はるのすけ | -

    お久しぶりです(*^o^*)
    記録更新おめでとうございます。
    自分も最近、十三峠を登り始めました(^^;)
    しょぼいタイムですが、平均君めざして頑張ってます。

    Jとぷさんみたいに速くなるにはどんな練習が効果的ですか?

    ( 20:07 )

  2. Re:はるのすけさん

    お久しぶりです。
    はるのすけさんも登録されたんですね。お互いがんばりましょう。

    効果的な練習方法は僕が知りたいくらいですが、
    今のところは体重を削るのが一番だと思っています。
    実走で脂肪を燃やして、筋トレで基礎代謝を上げて、
    あとは軽い食事制限という感じで今はやってますよ。

    ( 20:36 )

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